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コラム・素領域

2023年1月20日号

素領域

世界的な時刻の管理を担っている組織が国際度量衡総会であるが、昨年11月の会議で「うるう秒」の実質的な廃止が決議された▼時間はもともと地球の自転に基づいている。地球が自転し、24時間で1回転するものとして、その8万6400分の1を1秒としている。ところが、自転は潮の満ち引きなどの影響で微妙に変化する。各国の標準時である協定世界時(UTC)は、高精度な原子時計により決められている。うるう秒は、地球の自転による時刻とUTCの時刻がずれないように調整するためのものだ。廃止されるとわれわれの生活にどのような影響があるのだろうか▼半世紀前ならば、航海中の船は、特定の時刻の天体の方角から自船の位置を把握していたから、重要な役割を果たしていたことは確かである。それが全地球測位システム(GPS)の登場で、人工衛星によって位置が正確に特定できるようになったことから、必要性が薄れたという。専門家も「うるう秒がなくとも、一般の生活には影響はない」と断言している▼会議でまとめられた決議文では、少なくとも100年間、UTCの時刻調整はしないことを提案した。時間のずれはどのくらいまで許容されるかを協議し、2035年までに実装を目指すとしている。ただ近年、地球の自転は速まっているそうだ。そうなると、これまでの時刻の調整のため時刻を足すという対応から、引くという対応に迫られることになる。これは人類にとって初めての経験だ▼となると本当に影響がないのだろうか。10年前には時刻調整により、インターネットのシステムに障害が起きている。もろもろの心配が杞憂に終わればよいのだが。

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