日本は後れをとったデジタル化を急いで進めてイノベーションを起こし、新産業を創出して産業再生などにつなげようと、政府が盛んに施策を展開している▼デジタル活用でキャッシュレス化、ペーパーレス化、リモート化、無人化などを進め、無駄をなくして効率化を進める。その先導役とするべく、マイナンバーカードの普及拡大を進めている▼インターネットの普及、デジタル化の進歩で確かに便利になった。スマートフォンやパソコンを使えば、コミュニケーションだけでなく、買い物や交通機関、ビジネス、観光、娯楽、趣味など様々な利用ができる▼しかし、これだけネット依存が高まると、ネットワークを支える通信インフラ、情報システム、端末などの故障、そしてサイバー攻撃が大きな心配の種になる▼通信インフラや情報システムの二重化、サイバー攻撃に対するセキュリティ強化を進め、故障時の対応・対策も用意した、安心、信頼できるネット環境を実現してほしい▼また、利用者はデジタルや情報通信の技術に長けた人ばかりではない。端末の簡単操作でサービス利用できるようにすべきである。かつて言われた電源を入れればすぐに使える、簡単操作の情報家電と言えるような発想にはまだ遠いように思う▼さらに、度々繰り返されるＯＳ更新やセキュリティのための高額ソフトウェアの購入、端末機器の買い替えも負担になる。デジタルデバイド（情報格差）の解消が叫ばれて久しいが、スマホやパソコンが広く普及した今でも、それが実現したとは言えないだろう▼ビジネス創出や行政効率化などの視点ばかりではなく、利用者の立場からのサービスの在り方をより追求していかないと、デジタル化も、そううまくは進まないのではないか。