科学技術の進歩に寄与し
豊かな社会発展に貢献する
唯一の専門紙です。
毎週金曜日発行

TOP > コラム・素領域一覧 > 2023年3月10日号

コラム・素領域

2023年3月10日号

素領域

太陽は水素1㌘から7千億kWものエネルギーを核融合で高効率につくりだしている。この現象を地球上でつくり出そうという試みが核融合研究であり、資源が海水中に豊富にあることや温室効果ガスを出さないことからエネルギー問題と環境問題の両方を解決するものと期待されている▼ITER(イーター)計画もその1つで、核融合エネルギーが科学技術的に実現するかの検証を目的に、国際協力体制のもとで核融合実験炉「ITER」の建設がフランスのサン・ポール・レ・デュランスのITER建設サイトで進んでいる。この計画を進めるITER機構の副機構長に量子科学技術研究開発機構(QST)量子エネルギー部門那珂研究所の鎌田裕副所長が3月15日に就任する。鎌田氏は科学技術を担当する副機構長として、今後ITERの建設、工学、実験を主導し、2025年の運転開始を目指す▼同実験炉を構成する部品は各国が分担し、日本は超伝導トロイダル磁場(TF)コイルとCS導体を担当。TFコイルだけで高さ約17㍍と巨大な装置が誤差1㍉以下の精度で製作され、このほど日本担当分のTFコイル製造が完了した。特定の国や企業が全てをつくるのではなく分担しているのは、将来的な産業化を見据えた各国の技術力向上も目的としているからだという▼現在ITERでは約千人の職員と、それに加えて各国から派遣された専門家約250人が働く。そのうち日本人は約50人で現在も公募が行われている▼「地上の小さな太陽」がどのようなものなのか、わくわくしている。

  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Mail
THE SCIENCE NEWS
  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • 購読申込
  • メール