民主主義国家の構成要件には、適正に選挙が行われることなどによって、民意が国家運営に反映されることがあるが、欧米主要先進国では、アカデミーの存在も重要な要件の一つだ▼アカデミーはヨーロッパで民主主義以前に誕生した。英国の王立協会は１６６０年に組織され、１６６２年に国王の勅許によって、王立のアカデミーになった。フランス科学アカデミーは、１６６６年に生まれ、１６９９年、ルイ14世の庇護によってロイヤル科学アカデミーとして認知された▼民主政治以降に生まれた全米科学アカデミー（ＮＡＳ）は、１８５０年代に議会をサポートする組織として生まれ、１８６３年に法人化された。第１次大戦中は戦争への的確なアドバイスを行って評価されるが、その後、全米研究評議会（ＮＲＣ）が組織され、ＮＡＳは科学や公共政策の発展に貢献するレポート作成や各省庁の政策への助言を行う組織となった。日本学術会議（ＳＣＪ）は第２次大戦後の１９４９年に特別な政府機関として設置された▼ことほどさようにアカデミーというのは多様であり、その国の歴史を反映した組織であるが、共通していることは、政府とアカデミーには信頼関係があり、各組織とも国からの支援を受けている点だ▼各国アカデミーや国際純正・応用化学連合、国際純正・応用物理学連合、国際天文学連合などを会員として、国際組織ＩＳＣ（International Science Council）が組織されている。新しい星や種の発見、あるいは地層にチバニアンのような名称を付けることができるのは、日本もその一員だからだ。ＳＣＪと政府との対立激化は、日本の国際的な信用と地位を貶めることになるだろう。