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コラム・素領域

2023年4月7日号

素領域

増え続ける世界人口。昨年11月の国連の発表によるとついに80億人を超えた。一方で、地球温暖化に伴う環境破壊・汚染などが深刻化しつつある。それに伴い、世界的な食料不足の問題が一層懸念されるようになった▼ロシアのウクライナ侵攻で生じた小麦の供給不足でも明らかなように、戦争も食料需給に大きな影響を及ぼす。アフリカなどの紛争地域では多くの難民が生まれ、実際に食料不足によって多くの子供たちの命が失われている▼そうした実態を見れば、人口増加に食料供給が追い付かないというアンバランスの問題は、すでに始まっているようにも思える。例えば、足元の日本の海洋水産資源を考えると、かつて豊富な水揚げを誇ったイワシやスケトウダラなどは、漁獲量が激減したし、最近では庶民の魚であるサンマも獲れなくなった▼ウナギも減り、おいしいかば焼きは価格が高騰して廃業になったうなぎ料理店もある。クジラはとうの昔から滅多に食せなくなった。いずれマグロも日本の食卓から消えるのではないかと心配になる▼ただ、こうした食料問題を人工的に補おうと、養殖による水産資源確保や、タンパク質の代替資源開発などが行われている。様々な水産資源の養殖が進められ、近年ではマグロは養殖できるようになった。食用コオロギを養殖してタンパク源にしようという企業も生まれている▼ICTを駆使した野菜の栽培も始まっている。先日は、和牛に匹敵するおいしい培養肉の製造を行うための産学連携コンソーシアムが立ち上がった▼食料問題に対し、科学技術で対応しようという、こうした試みが近年活発になっており期待感を持たせる。しかしまだまだ不十分だ。さらなる研究開発や対策を期待したい。

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