「日本はデジタル化が遅れている」というので、国を挙げたDX推進が行われている。マイナンバーカードの普及と活用はその大きな施策の一つで、各種の行政サービスに利用できるよう取り組みが進められている▼しかし、マイナ保険証や公金受取口座におけるひもづけのミスが続出するなど、ここに来てトラブルが相次いでいる。政府の焦りがミスを生んでいるようにも見える。「急がば回れ」という例えもある。時間はかかっても、まずは確実に取り組みを進めることが大事だ。普及を急いで信頼を失っては何もならない▼自分も6年ほど前にマイナンバーカードを作った。身分証明書として使えるのはいいが、それ以外に使えるようなことがほとんどない。だから各種行政サービスに使えるようにしようという国の姿勢には期待している▼しかし、今日のネット社会では、情報漏洩やサイバー攻撃、詐欺などが日常茶飯事である。マイナンバーカードは心配はない、個人情報は守られる、セキュリティーは大丈夫といっても、国民の理解を得るのは難しい▼まして、今回のような失態が続いては、やはり信頼できないといわれても仕方ないだろう。デジタル化推進はいいが、それには、まず安心してゆだねられるデジタル社会を実現することが第一のように思う▼元来が高額な基本ソフトやセキュリティーソフトを購入し、日々更新しながら利用しなければならないインターネットである。面倒なパソコン操作、ID取得や暗証番号設定、やたらと多いアプリなど。基本的に改善してほしいことはたくさんある▼IT企業などの戦略ばかりに依存しない、利用者目線の安心・安全なデジタル社会の構築を望む。
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