ステルスマーケティング(ステマ)とは、実際は広告主による広告であるにもかかわらず、消費者にはそれが分からないような欺瞞的な宣伝行為のことを指している▼国民の消費行動のデジタル化の進展とともにインターネット上の広告、特にSNS上の広告について、ステマが一般消費者の合理的な意思決定を阻害するなどの問題が顕在化した。実際SNS上には、以前はそう思われる投稿が散見されていた。これを受けて今年10月から景品表示法5条第3号の不正表示の指定告示に新たに追加。ステマが初めて規制の対象になる▼規制の検討については昨年9月から消費者庁の「ステルスマーケティングに関する検討会」で調査が行われてきた。日本弁護士連合会は2017年に「ステルスマーケティングの規制に関する意見書」を公表すると共に消費者庁長官に提出し、早急な対策を求めていた▼ステマは欧米ではかなり前から規制対象になっており、EUでは来年さらに強化が予定されている。日本の対応は遅れていたが、ようやく第一歩を踏み出した▼検討委員会の有識者によれば、今回の規制対象は広告主にとどまり中間業者は対象にならないため、まだ拡大の必要があるという。特に現行法では、中間業者が第三者に報酬を支払って行われるような製品のレビューや口コミの投稿を規制できないなどの限界がある▼ステマについては一般的にその違法性の理解も不十分だという。幅広い年代に理解を深めてもらうにはどうしたらよいか考えたい。
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