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コラム・素領域

2023年7月28日号

素領域

7月18日に開催された国連安全保障理事会のAI(人工知能)に関する公開会合で、AIの恩恵とリスクについて議論が行われ、参加各国の多くからは、期待と共に軍事や不正行為などに利用されかねない潜在的な脅威に対する懸念が示されたという▼昨年11月に公開された米国オープンAI社のChatGPTが注目されて以来、今年に入って生成AIの利用に関する問題がクローズアップされ、政府も何らかの規制が必要と考えて検討を開始するなど、様々な分野で議論が交わされている▼AIの近年の急速な発展は、人間の脳の神経細胞を模倣したニューラルネットによる機械学習(深層学習)の進歩によってもたらされている▼この優れた技術が戦争や犯罪などに悪用されたら大変な事態になるという心配は誰もが抱くものである。しかし、産業をはじめ、様々な分野へすでに浸透しつつある▼AIはその用途次第で、我々に幸せや利益をもたらしてくれる大きな可能性を秘めている。例えば、医療分野におけるがんの診断支援や、自動翻訳といった分野においても革新的な進歩をもたらしている▼AIをどう活用するかという問題は、詰まるところ、科学技術のデュアルユース問題に行き着くのだろうか。科学や技術がどれほど優れていても、その使い方によって害にも益にもなるものは多い。しかし、それは使う側の人間に責任があることは確かである▼それならば、研究・開発する側にも責任はあるのではないか。幸いなことに、AIは機械学習を重ねて開発される。だとしたら、人間の害にならないAIというものを、機械学習で教育して育てればいい。それが、開発する側の人間の責任ではないだろうか。

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