毎年、夏になると日本列島にやってくる台風。この夏も６号、７号が到来して沖縄、九州、四国、近畿、中国、東海、関東、東北などを襲い、大きな被害をもたらした▼鉄道や道路、航空機など交通機関に与えた影響も大きく、通勤など日常の利用だけでなく、お盆休みの帰省や観光の利用にも支障を及ぼし、各地で混乱を招いた▼今回の台風では短時間に大量の降雨があり記録的な降水量になった地域もあった。風も強くて竜巻などの突風が発生した。地球温暖化の影響もあってか、近年の台風は勢力が強く以前より脅威が増している▼台風シーズンはまだ続く。ウェザーニュースの６月の発表では、台風発生域の対流活動が平年より活発になるため、今年の発生数は平年よりやや多い29個前後になる予想だった。今後の襲来が心配だ▼大地震は怖いが、台風をはじめ、近年多い局地的な集中豪雨も大きな脅威である。「災害列島日本」に求められているものは、地震、台風、豪雨などの災害に耐え得る、より強靭な国土づくりである▼いま、日本ではＩＴ産業やバイオ産業の発展を目指し、情報科学や生命科学といった先端研究への投資が重視されているが、強靭な国土づくりには土木、建築、交通などの工学、そして防災科学の発展が欠かせない▼大雨・集中豪雨に対応できる河川や下水道、大地震や台風・水害に耐えられる家屋、災害時にも止まらない交通や電気などのインフラを実現するための科学技術の研究開発にも、一層大きな投資が必要である。