空気が乾燥する冬の12月から、春先の3月~4月まで続く火災が起こりやすい期間に突入する。毎年3月が最多となる▼東京消防庁の令和4年版「火災の実態」によれば平成4年から令和3年までの30年間の火災件数は、平成9年の約7千件をピークに減少傾向にあり、令和3年には約4千件まで減少。同庁が統計を開始した昭和35年以降で最も少なかったのは令和2年の約3700件。発生件数自体は平成27年頃から横ばい状態にある▼全体としては減少傾向にあるなか、出火原因をみてみると電気設備機器によるものは増加していて、全火災に占める割合は令和3年で約36%と、たばこや放火、ガス設備機器(13~15%)より著しく高い。都会の住宅事情や電化製品に囲まれた現代社会では当然かもしれない▼特にこの10年でモバイルバッテリーなどに使用されるリチウムイオン電池による火災は30倍に増加。令和3年には141件が発生した▼経済産業省は平成31年からモバイルバッテリーを電気用品安全法の規制対象としており、PSEマークが表示された製品以外の国内販売を禁じている。PSEマークは丸形と菱形があり、菱形は構造または使用方法等の使用状況により危険が生じるおそれの高い特定電気用品を対象とし、表示には登録検査機関による適合証明を受ける必要がある。丸形は家電製品がおおむね対象とされモバイルバッテリーも含まれる。一方で、丸形は事業者による自主検査で表示が可能なため、厳密には安全性を保証するものではない。ご留意ください。
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