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コラム・素領域

2024年3月8日号

素領域

近年、少子高齢化問題が一層深刻さを増している。国立社会保障・人口問題研究所が2020年の国勢調査を出発点として、将来人口を推計している▼昨年4月公表の推計値によれば、全人口は2020年の1億2615万人から、50年後の2070年には8700万人に減少する。65歳以上の高齢者の割合は28・6%から38・7%に増え、高齢化も一段と進む。一方、0~14歳の子供たちの割合は11・9%から9・2%へとさらに減り、少子化が加速する▼政府もこうした状況を懸念して、子育て世代への支援対策などに注力している。しかし、そうした対策だけでは少子化は解決しそうにない状況のようである▼やはり同研究所が昨年12月に公表した日本の地域別将来推計人口では、地方の人口減少が今後一層進む見通しだ。2050年の65歳以上人口が2020年を下回る市区町村は、なんと全体の約70%に達する。0~14歳人口は99%の市区町村で2020年より下回る。2040~2045年以降は、ついに東京を含むすべての都道府県で総人口が減少するという衝撃的な予測だ▼これはもう、子育て支援対策だけでは解消しない問題である。安倍政権が打ち出した地方創生もすでに10年経ったが、いまだに地方は衰退し続けている。そして、少子高齢化の加速で今後も衰退は進みそうだ。問題解決に向けては、国づくりを根本的に変えていく必要があるのではないか。例えば、近年は都内で再開発が盛んである▼しかし、地方の再開発にもっと重点をおくべきではないだろうか。100年先を見据え、人々が働き生活できる、魅力ある地方都市を育てることが日本の将来につながる。そのために最先端の科学技術が貢献できることも多いと思う。

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