北陸新幹線の金沢-敦賀間が3月16日開業した。同新幹線は1997年に高崎から長野まで、2015年に長野から金沢まで開業。その総延長は約700㌔㍍(全線開通後)と新幹線の中で最も長い。東京を起点として、長野、上越、富山、金沢、福井などの主要都市を経由し、最終的には京都、大阪へと至る。現在は東京-敦賀間を最速3時間8分、大阪-金沢間(特急のサンダーバード利用時)を最速2時間9分で結ぶ▼運営主体は東京から上越妙高まではJR東日本、上越妙高から敦賀まではJR西日本で、新幹線として唯一、2つの鉄道会社が運行を担っている▼日本で初めての新幹線は1964年に開業した東海道新幹線で、今年10月に60周年を迎え、4月には特設サイトの開設や各種イベントの開催が予定されている▼(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構によれば北陸新幹線では新たな開発技術を各種導入。例えば耐震性を高めるために日本製鉄と共同開発したスリップジョイント構造をもつ電車線柱を導入した。また鉄道総合技術研究所などと共同開発したテンションバランサは、地震時の負荷を軽減するため取付金具に回転機構を有している。テンションバランサは安定した電力供給のため電車線の張力を調節しているばね構造の装置で、2016年の熊本地震を契機に新たに開発された。また建築限界の測定は、従来は車両による実測で行われていたが、新たに3Dスキャナーを用いた装置が利用されるようになった▼年始に起きた能登半島地震の被害は大きく復旧はまだだという。北陸新幹線を足がかりとした復興への取り組みが期待される。
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