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コラム・素領域

2024年6月7日号

素領域

世界的な宇宙開発競争が激しさを増しているということで、日本も国を挙げた宇宙戦略推進に注力している▼日本は半世紀以上も前から宇宙開発に取り組んできた。その成果はBS(放送衛星)や様々な観測衛星などに生かされている。ところが、民間企業を巻き込んだ衛星利用ビジネスはあまり進んでいない状況だ▼例えば、いま実用化された準天頂衛星「みちびき」も国の運営によるサービスが提供されており、民間の実証事業の募集などが行われている。同衛星は様々な衛星ビジネスを創出するために、当初は民間主体の事業構想が進められたが、実現しなかった▼結局、国が衛星開発の資金を投入して後押しする形で今日に至っている。それでも日本独自の測位衛星であり、今後の一層の発展を期待したいものである▼衛星の民間ビジネスといえば、日本でも大きな宇宙ビジネスの構想が打ち出された。KDDIが5月30日に宇宙共創プログラム「MUGENLABO UNIVERSE」を、NTTが6月3日に「NTTC89」を、今後へ向けた構想として発表した▼宇宙を利用した、これまでにない新しい通信サービスなどを提供していくのが、構想のねらいのようだ。両社はこれまで日本の国内・国際衛星通信サービスを担い、その技術を開発してサービスを実用化してきた企業だ▼今回の構想実現に大きく期待したいところである。しかし、やはり内外を問わず、民間企業の参画をどれほど得られるかが課題になるだろう。国の宇宙戦略では10年間で10兆円という基金をJAXAに設けることになっている▼両社の構想をはじめ、この基金がどれだけ民間の宇宙ビジネス計画を後押しできるのか、今後注目していきたい。

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