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コラム・素領域

2024年11月8日号

素領域

気象庁の発表(10月28日)によれば、2023年における世界の主要な温室効果ガス濃度はいずれも観測史上最高を更新した▼気象庁が運営する世界気象機関(WMO)温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)による観測データの解析結果である▼主要な温室効果ガスである二酸化炭素は、23年の世界平均濃度が420・0プラスマイナス0・1ppmで、前年より2・3ppm増加した▼同じくメタンは1934プラスマイナス2ppbで、11ppbの増加。一酸化二窒素は336・9プラスマイナス0・1ppbで、1・1ppbの増加である▼いずれも、最近10年間の平均年増加量が、1984年の解析開始から23年までの39年間における平均年増加量より大きくなっている▼しかも、毎年観測史上最高の濃度を更新し続けている。つまり、現状の世界の取り組みでは温室効果ガスを削減できていないということである▼日本の今年の夏もひどい猛暑で、その期間も長かった。このままの状態が続いていったら、この先5年後、10年後はどうなるのか。非常に心配だ▼温室効果ガス削減は個人や一企業、一国だけの取り組みでは解決しない問題である。世界が一丸となって取り組まなければ改善の方向には進んでいかない▼それなのに、世界はいま分断化の動きが強まっており、一致団結した取り組みが望めない状況だ。温暖化対策どころか、欧米と中露の対立は切迫してきている▼ウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナ・ガザの紛争、台湾に対する中国の動きなどが、今後どう世界に影響を及ぼしていくのか。暗雲がただよっている▼大国が自国の利益ばかり考えて無益な争いをしている間に、温暖化は一層進み人類存亡の危機が迫っている。

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