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コラム・素領域

2024年11月15日号

素領域

日本分子生物学会の第47回年会が11月27~29日に福岡で開催される。かつては小さな学会だったものが、今や日本最大の生命科学系学会となり、同じ会員同士でも専門領域の異なる様々な人たちが集まる。こうした巨大な学会だからこそ、研究者同士の自主的な情報交換の場であった原点に立ち返ることが重要だ▼生命科学に限らず、自然科学系では異分野の融合や連携が急速に進んでいる。こうした異分野の界面でこそ、新たなイノベーションが生まれるためだ。政策的な意図に基づいて行われるものもあるが、多くは研究者が自らの問題意識と関連する様々なツールの発達によって行われる自然発生的なものだ▼先日、東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して、東京科学大学が生まれた。医歯薬学と工学・基礎生命科学等という異なる学問領域でそれぞれトップクラスの研究が行われてきたが、現在、それぞれの分野の連携で新たな学問が切り開かれようとしている▼例えば、量子センサーと医学との融合だ。様々な生体外からの刺激(治療・医薬品)がどのような影響を与えるのかを捉えるため、量子センサー(ダイヤモンドNV)で生体内の温度・イオンなどの変化をリアルタイムで計測するといったことなどが進んでいる。これは、応用物理学会と医学会(内科・循環器科など)の連携でもあり、量子生命科学会の中心領域の一つだともいえる▼今回の分子生物学会年会では、小規模な研究会や学会が共催するシンポジウムやミニシンポジウムが予定されている。ビッグデータやAIが発達し、人間よりも高度な情報処理能力を活用できるようになったが、新たな発見は人と人との出会いから生まれる。

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