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コラム・素領域

2018年6月8日号

素領域

従来の科学技術政策だけでは日本の国際競争力の劣化を食い止めることはできない。政府が一体となって経済社会システム全体を大胆に変革する必要がある。そこで、幅広く科学技術イノベーションに関連する政策や経済社会システムを検証し、PDCAのアクション(改善)として実行する統合イノベーション戦略を策定する。全体で80ページにもなる戦略の素案は「はじめに」の部分で、このように自らを位置づけている▼素案の中に経済社会システム改革はどのくらい入っているのだろうか。例えば、研究開発の成果を社会実装していくための創業支援の強化では、技術・イノベーションの進展に合わせた規制・法制度の見直しということで、サンドボックス制度の活用、横断的・オープン・柔軟な規制の見直し、国家戦略特区の活用などをあげている。政府事業のイノベーション化では、国土交通省のi-Construction、厚生労働省の条件付き早期承認制度などを取り上げた上で、各省庁の事業・制度等の見直しについて、CSTIが提案を行っていくという。重点分野別の取り組みにも幾つかの記述がある▼ところでSIPは、科学技術イノベーション創造推進費で行われているが、この経費は予算制度上、何に使っても良いことになっている。そのため550億円の予算のうち、175億円が毎年、医療分野の研究開発に関する調整費としてAMEDに配分されている。これまでは毎年残り375億円がSIP事業に配分されてきた▼システム改革はやってみないと正解かどうかわからない側面がある。SIP事業実用化のための改革も重要だが、より幅広く日本の経済社会システムの改革を行うのであれば、この予算を使ったある種の社会実験を行うことが有効だ。同時に各省バラバラの予算使用ルール統一も必要であろう。

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