「発明の日」の4月18日を含む一週間(16~22日)は、科学技術週間だ。各大学や研究機関等では、一般公開や子供科学教室など、様々なイベントが行われる▼近年、若者の科学技術離れだけでなく、大人の科学的視点や知識の不足から、あたかも科学的根拠があるかのような謳い文句があふれ、その商品やサービスが堂々と売られていることも多いのが現実だ▼科学技術・学術政策研究所の調査によると、大学生の59・2%が科学技術情報に関心を持っているが、その割合は理系以外の学部生で見ると42・4%に低下する。また小中高校生時代に理科や算数・数学が好きだったかどうかを聞くと、好き嫌いと進学に明らかな相関があり、理科や算数・数学が嫌いなことが理系以外への進学を促進していることがわかる▼子供たちの算数・数学・理科への関心を高めるため、様々な取り組みが行われてきたが、あまり奏効していないのが現実である。文部科学省では子供科学技術白書を作成していたが、思ったほどの効果が出ないことから、現在は作っていない。主人公が様々な冒険を通して、特定分野の内容を学んでいくという漫画なのだが、内容が難しかったり、そもそも科学に関心を持っている人しか手にとることがない▼先日、日本アイソトープ協会が放射線や放射能に対する理解を促すゲームアプリを開発し、公開した。ここにはゲーミフィケーションという手法が使われており、ゲームの中に放射能や放射線といった言葉は出てこないが、後で「ああ、そういうことだったんだ」と理解できるシステムになっている。また一部の大学の授業ではゲーミフィケーションの手法を取り入れた授業を行うことで興味・関心や理解について一定の成果を得ることに成功している。これに限らず、新たな手法を模索・実践する必要がある。
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