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コラム・素領域

2017年4月14日号

素領域

宇宙で植物はどう育つのか。擬似微小重力環境でトマトを育てながら、その影響を見る。観察の結果、アブラゼミの羽化場所決定には、何らかのフェロモンが働いているのではないかと誘引物質の特定を進める。ゴルフボールの表面を見て、表面加工によってプロペラの効率を上げることができるのではないかと120通りものパターンを試して、最も効率の良い加工方法を見つけ出す。いずれも高校生たちが小学生や中学生時代から取り組んでいる研究のテーマだ▼グローバルサイエンスキャンパスは、優秀な高校生を大学が体系的に教育するためのJSTの事業である。筑波大学のGFESTプログラムでは、全国各地の優秀な高校生の研究をサポートしながら、各高校生の交流を図るとともに、海外研修などを通じてグローバルな経験を与えている。現在、約60人の高校生が対象となっている▼最初に研究テーマをあげた3人の高校生は、いずれも自らの体験や疑問の中から研究テーマを見つけ出し、家族の支援と自らの努力で研究を行ってきた。GFESTは、実験をより効率的に進めたり、論理性やコミュニケーション能力を身に付けたりと、その後押しをしている▼元来、研究とは、自らが持った単純な疑問を明らかにするため、自由な発想でテーマを決めて取り組むものである。しかし、近年の日本の政策や大学での取り組みを見ていると、イノベーションという言葉があちこちで踊っていて、純粋な意味での研究テーマの設定ができにくい環境になっている。相対性理論がそうであるように、本当のイノベーションは、基本的な疑問の結果が、予想もしない成果を生み出すものである。

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