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コラム・素領域

2017年4月21日号

素領域

科学技術の進展と共に医療技術は日々進化し、それに伴い医師に必要とされる知識や技能も高度化している▼文部科学省は今年3月、大学における医学部学生が卒業(臨床実習開始前)までに最低限履修すべき教育内容をまとめた「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂版を公表。改訂版は「多様なニーズに対応できる医師の要請」を目指して取りまとめられた。さらに現在、日本の大学医学部では、国際基準に沿った教育を行うべくカリキュラムの変更が進められている。これは日本の医師が米国で医療行為を行うための資格試験の受験資格が2023年以降、従来のカリキュラムでは満たせないことを背景としている。そしてこれら変更では共通して、実習の充実が盛り込まれている▼これに対し医学部を持つ大学では、外科手術や内視鏡などを装置を用いてトレーニングするシミュレーションセンターの整備を進め、手技向上や再教育を支援。よりリアリティのあるシミュレーションロボットも次々と産学共同で開発されている。これら取り組みは、近年問題となった技量不足を原因とした医療事故を予防するものと評価できるのではないだろうか▼一方で、最終的に若手の手技向上に必要なのは臨床であり、それには患者やその家族の協力と理解が不可欠だ。日本では、患者が医学教育・医学研究に参加する頻度は増えてきたとはいえまだ低く、そこには普段、健康でいる限り病院との関わりがないがゆえの誤解もあるように思える。この機会に、相互理解を深めることができるのではないかと期待している。

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