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コラム・素領域

2017年4月28日号

素領域

「ユマニチュード(Humanitude)」という用語がある。認知症の方の介護にあたられた人、あるいはあたられている人ならばご存じの言葉だろう▼ユマニチュードとは、2人のフランスの専門家が編み出した知覚、感情、言語による包括的なケア技法で、会話ができないくらい進行した認知症の改善に劇的な効果をもたらすとして注目されているものだ。その効果をもたらす技法は、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱からなる。見るとは、介護する人が認知症の患者をきちんと認識していることを分かってもらうため、同じ目線で患者の目をしっかり見ることである▼介護していると、とかく相手を見下ろすようになりがちで、それでは威圧感が勝り、対等な関係を維持できなくなる。話すとは、反応の鈍い相手に話しかけることは難しいが、それでも優しく、繰り返し話しかけることが大切で、体に接触する場合でも、まず接触する部分を言葉で伝えて安心感を与えること▼触れるとは、これも患者に安心感を与える大事な行為で、腕を上からつかむようなことは避け、安心できるように工夫することが求められる。そして立つ。これは寝たきりにならないように、自力で立つことを促す。それによって筋力の低下を防げるし、情報量がぐんと増やせる。これらの技法は、介護の専門家ならいざ知らず、思い通りにはいかないのが世の常だ▼ただ、これを実践することで患者も介護する人も負担が軽くなればすばらしいことではないか。

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