新型コロナウイルスの感染拡大が、日常生活や社会活動、経済活動などあらゆる分野に影響を及ぼしており、全国の学校休校、各種イベントの相次ぐ中止や延期などが起きている▼年度末の2月から3月にかけて全国各地で開催される、各学会の大会や総会も同様であり、軒並み中止となっている▼本紙も、毎年度末に学会特集を組んでいるが、今年は現地での大会中止の影響を受けた。各学会とも大会の現地開催は中止としたが、大会は成立ということになった▼そのため、特集号は内容を一部変更して予定通り発行できることになったが、特集掲載紙の現地会場での無料配布はできなくなった▼ところで、そうした感染拡大の中で活用されているのがICTである。可能な企業などは、テレワークを利用した自宅などでの仕事に切り替えて感染の拡大防止に努めている▼また、フォーラムやシンポジウムなどのイベントをWeb中継に変更して行ったり、先生たちだけによる卒業式を生徒のスマホに配信したりするなどの利用も行われている▼学会活動でも、ICTを活用してオンラインで大会をやろうと立ち上がり、3月2日から4日まで実際に年次大会を開いた学会がある▼これは「第12回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム/第18回日本データベース学会年次会」で、国立情報学研究所が開催に協力した▼費用や技術・ノウハウなどの問題があって、誰もがこうしたICT活用をすぐに実施可能なわけではないが、スマホやPCはすでに広く普及しており、この非常時を乗り切るためにその活用は有効である▼東京オリンピック・パラリンピック開催へ向けて、国を挙げたテレワーク推進運動が数年前から展開されているが、今回のような怖い感染症の拡大を防ぐツールとしても、ICTの利活用を工夫する必要があるのではないか。
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