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コラム・素領域

2020年3月6日号

素領域

誰もがよく知っている冬を代表する星座といえば、オリオン座であろう。ギリシャ神話における狩人、オリオンにちなんで名づけられた▼この星座を構成する星の中で、左上に位置し、1等星として赤く輝いているのがベテルギウスである。いま、この星に異変が起きている。昨年の秋頃から急激に暗くなっており、過去50年で最も暗いという。専門家をはじめ筆者のような一般の天文ファンの間でも、星が最期を迎える超新星爆発の兆しではないかと話題となっている。もし爆発すれば、月ほどの明るさになり、昼間でも見ることができるそうだ▼それはいつなのか。専門家は「星の明るさは別にしても、超新星爆発はいつ起こっても不思議ではありません。明日起こるかもしれませんが、数万年先かもしれません」と、日本列島を襲うであろう地震の発生予測のようなことを言う。もっとも爆発が起こったとしても、それによるガスは地球には届かないし、有害なガンマ線などの電磁波も大気で吸収されるため、人類が滅亡する心配はないらしい▼科学技術的にいうと、ニュートリノを観測していれば、ベテルギウスが超新星になることを予測できるし、よく分かってはいない超新星爆発の謎が解明できるかもしれない。すでにカミオカンデでは、大量のニュートリノの観測に対応できるような態勢を整えている。ハワイのすばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡など、世界最先端の設備でも観測を始めている▼身近にプラネタリウムがあれば、一般の人もベテルギウスの変化を楽しんでみてはいかがだろうか。とにかくこんな機会は滅多にあるものではないだけに期待したい。

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