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コラム・素領域

2022年6月17日号

素領域

ロシアのウクライナ侵攻による戦争が長引いており、エネルギー、食料、経済など世界的に影響が出始めている。戦争の長期化はさらなる新たな摩擦を引き起こし、何かをきっかけにしてより拡大へ向かう心配もぬぐい切れない▼日本は第2次大戦で敗北し、戦後の新憲法の下で他国との戦争をしない国になり、平和で豊かな国として発展してきた。1945年の終戦以降に生まれた人は、筆者もそうであるが戦争を全く体験していない▼総務省の年齢別人口の統計(2021年)を見ると、75歳以上の人は全人口の約15%を占めている。従って、ほぼそれ以下の年齢の、1945年以降に生まれた人は全人口の9割近くもいて、全く戦争体験がないことになる▼この大多数の人たちは、学校教育などを通して戦争はしてはいけないと教えられてきている。これは正論である。国と国が戦争をして、多くの人たちの命が失われることは悲惨であり許されないことだ▼しかし、どうなのだろう。日本を取り巻く中国、北朝鮮、ロシアとの国境は海だが、近年は緊張が高まりつつある。このままウクライナでの戦闘が長引き、食料やエネルギーが供給不足となり世界経済が大混乱するような事態になるかもしれない▼そうなれば、これは杞憂であってほしいが、緊張するこの国境で何が起こるか分からない。日本人の多くは、ワーッと時流に流されやすい国民のように思う。万が一にでもそういう緊迫した事態になった時にはどうか▼それでも「いや戦争はしない」「話し合いで解決する」といえる人がどれだけいるか。戦争体験の全くない、われわれ日本人の多くが、それを貫き通せるだけの信念があるのか。今から心がけていたほうがいいのかもしれない。

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