今年は残念ながら日本人のノーベル賞受賞はならなかったが、9月に第32回イグ・ノーベル賞の発表があった。同賞はImprobable Research社が主宰し、「人を思わず笑わせ、そして考えさせてくれる」なんらかの研究を行った個人やグループを対象に毎年選考される。受賞者には賞状とトロフィー(PDF:自分で工作)、10兆ジンバブエドルが贈られている。もはや恒例となった感があるが、今年も日本人が受賞。これで16年連続となった▼今回は千葉工業大学の松崎元教授らの研究グループが「つまみを回す際、最も効率的な指の使い方の解明に挑戦したこと」ことにより「工学賞」に選ばれた。研究は論文「円柱形つまみの回転操作における指の使用状況について(How to Use Fingers during Rotary Control of Columnar Knobs)」にまとめられている。松崎教授らは、人の手技技能の中で、つまみ・水栓器具などの操作具を前提とした円柱の回転操作について、人が円柱の太さにより使う指の本数や位置を無意識のうちにどのように変化させているか実験を行い、統計学的に明確化を目指した。この研究はよりよい回転操作機器の形状設計に役立てることを目的としている▼大阪市中央区の心斎橋PARCOでは、同賞主宰者の協力により11月13日まで「イグ・ノーベル賞の世界展2022」が開催されている。これまでの受賞のうち特にユニークな研究について受賞者の協力を得て紹介。今年受賞した千葉工業大学の研究グループの研究についても展示されている。お近くにお住まいの方は足を運んでみてはいかがだろうか。
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