KDDIは、先月11月23日で国際衛星通信開始から60周年を迎えた。それによれば、日本の衛星通信は1963年11月23日の日米間テレビ衛星中継の実験で幕を開けた▼リレー衛星を用いたこの衛星通信実験の成功で、それまで短波無線が主流の国際通信は新しい時代を迎えることになった。ところが、この画期的な実験で送られてきたのは、なんとケネディ大統領暗殺のニュースだった▼早朝のテレビニュースで、そのショッキングな事件が流されたのを、当時小学生であった筆者も記憶している。世界的にも先進的だったこの実験は大きな関心を集めたのだろうが、それよりも暗殺のニュースが世間を大きく騒がせていたと思う▼ともあれ実験は成功した。3年後の1966年に、KDDI(当時KDD)は日米間国際テレビ伝送業務を開始した。さらに、衛星通信はグローバルに広がり、世界の出来事がリアルタイムに映像で視聴できる時代が到来した▼その後、国際通信は世界を縦横に結ぶ海底光通信ケーブルが主役になっていったが、今また衛星ブロードバンドインターネットという最新技術が登場して、新たな利用が始まりつつある▼このように国際通信ひとつをとっても、60年間で技術革新はどんどん進んできた。今も通信・情報分野では、携帯電話は6Gへ、コンピューターはスパコンから量子コンピューターへと開発が急進している▼AI(人工知能)の利用も広がり、生成AIの登場で大変革が起きそうな兆しを見せている。技術革新のスピードは、まだまだ加速し続けそうだ。
© 2024 THE SCIENCE NEWS