新たな年が明け、2024年が始まる。21世紀に入って早くもほぼ四半世紀が過ぎたことになる▼年始には明るい願いをと思うが、昨今の国内・国際情勢を考えるとどうもそうはいかない。長引いたコロナウイルス感染は5類感染症扱いになり、制限されていた日常生活もようやく従来に戻りつつある▼しかし、景気は相変わらず。年末には自民党内の政治資金規正法違反事件が発覚して政治の混乱を招いている。物流業界の2024年問題などもある▼科学技術分野では、日本は1995年の科学技術基本法制定で目指してきた、科学技術創造立国の実現をいまだ達成できずにいる。それどころか、日本の科学技術の国際的な存在感は低下している▼様々な企業の不正、研究者の研究不正も後を絶たないでいる。世界情勢に目を向ければ、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が依然続いており、さらにイスラエルとパレスチナの戦闘が始まった▼アジアの方でも、中国の軍拡や北朝鮮によるミサイル発射の脅威が増している。地球温暖化防止をはじめとしたSDGsの取り組みは進んでいない。等々と憂鬱なことばかりが目立っている昨今である▼とはいえ、2024年を迎えた。今年の干支は「辰年(甲辰)」で、変革や始まり、成長したり勢いが増したりするという意味があるそうだ▼かなうなら、今年こそ変革の年にして、日本の科学技術力・産業競争力再興の起点にすると共に、グローバルな紛争や軍拡に終止符を打ち、世界が一丸となってSDGsを前進させる年にしたいと願う。
© 2024 THE SCIENCE NEWS