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コラム・素領域

2018年2月16日号

素領域

生態系において、相互に利益のある共生(相利共生)は、マメ科植物と根粒菌によるものがよく知られている。身近なところでは、ヒトを含めた真核生物の細胞内のミトコンドリアや植物の葉緑体も、かつては細胞内共生細菌だったと考えられ、いまでは我々が生きていくのになくてはならない存在だ▼こうした共生関係については近年、農業利用に向けた研究がめざましく進展している。作物に特定の細菌を感染させることで、他の細菌からの感染を防いだり、作物に害を及ぼす農薬の効きづらい昆虫に共生する細菌を殺菌したりすることで、間接的に昆虫を防除しようというものだ▼なかでも、宿主となる昆虫と、それに共生する細菌の繊細な関係性はとても興味深い。例えばホソヘリカメムシには細菌のバークホルデリアが共生しているが、両者の関係は密接で、細菌がいないことが不利になるほどに相互が依存している▼この昆虫の体内には、細菌のための器官もある。そして宿主はこの細菌以外の進入を防ぎ、共生細菌は他の細菌とは異なる能力を獲得することで共生を成功させているとみられている。共生のひとつである寄生関係では、宿主を操作する共生生物もいるため、個人的にはこれらの仕組みが宿主と細菌のいずれの「思惑」によるかが気になるので、今後の解明を期待している▼2020年のオリンピック、パラリンピックは東京で開催される。この基本コンセプトのひとつは「多様性と調和」で、共生社会をはぐくむ契機となるような大会を目指すという。「契機となるような」という表現が現実的で悲しいが、未来はつくれると信じたいものである。

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