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コラム・素領域

2017年7月21日号

素領域

九州など各地を襲った大雨は、山の貯水機能を麻痺させ、河川を氾濫させて、流域に多大な被害をもたらした。いまだ行方不明者の捜索も続き、あちらこちらで山の斜面が崩れ落ちている様子、生活の場が土砂に覆われしまっている被災地を目にすると胸が痛む。近年、異常な量の降雨(例えば1日に平年の1カ月分の雨が降る)が多くなっている。日本だけでなく、世界各地でも、こうした異常気象が起きている▼国内では様々な場所にセンサが設置されるようになった。商業施設や公共施設等の監視カメラ、海底の地震計など、様々な場所がセンシング(計測)対象になっている。宇宙から地上を、あるいは上空の気象をセンシングできる人工衛星もいくつか存在している。これらの情報を集約して、地上で起こる異常気象に対応する試みが増えつつある。東日本大震災後から気象庁では、より緊急性を高めた発表、避難の仕方を繰り返し伝えるようになった。また、指定河川洪水予報で水位危険度レベル、土砂災害警戒情報も地図で一目でわかるように公開している。今回の九州北部豪雨では、防災科研などの研究機関も降雨情報等を解析し、現地対策本部を支援している。内閣府ImPACTでも、孤立地域の道路の崩落状況等をドローンで撮影し、復旧を支援した▼こうした取り組みもあり、科学の力(センシングや解析)で自然災害の被害を多少は軽減できるようになってきた。日本は様々な自然災害に見舞われる希有な場所に立地している。この厳しい環境から生まれた先進的な災害対策の知見は国内だけでなく、自然災害が多発しているアジアをはじめ世界各国で活用されていく必要がある。

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