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コラム・素領域

2017年2月24日号

素領域

2月は暦の上では春だが、まだ寒さも厳しく例年、3月までは関東でも積雪が見られる。「早春賦」でもそう歌われるではないかとも思ったが、調べてみると作詞家の吉丸一昌氏が長野県の安曇野あたりの早春の情景を表現したもので、なるほど春とは名のみである。春の訪れを告げる梅は東京では散るころだが、長野ではまだ咲いておらず気象庁によれば昨年は3月8日に開花した。ちなみに東京の今年の開花は1月10日だ▼その梅が、いまプラムポックスウイルスを原因とするウイルス病により危険にさらされている。人に毒性はないが、幅広い植物に感染し、葉や果実に斑点が現れ商品価値を失わせたり、果実の落下を引き起こしたりする。防除法は焼却処分のみで、日本では2009年に梅への感染が明らかになった。以降日本各地で、緊急防除が行われている。アブラムシ等により媒介され、人による感染植物の移植や接ぎ木でも広がる。潜伏期間も長い▼こうした病害虫の感染拡大は過去にも例があるが、現代のグローバリゼーションはこれを過去とは比較できない速度で拡大させている。近年、生物多様性への影響から動植物の輸出入に規制がかかりはじめたが、いまだ手つかずのものも多い▼これまで人はグローバリゼーションの恩恵を大いに受け、一方でその危険性には目を背けてきた。長く禍根を残すこれらへ今対応できるか、それが将来を決めるのだろう。

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