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コラム・素領域

2017年2月10日号

素領域

よく自由には責任が伴うと言われる。換言すればどんな社会にも、法律や慣習などに基づいた規範があって、その規範に違反した行為をすると責任を取らされるということである。これは、学術研究の世界でも同じである。自由に研究することは認められているが、やはりこの世界の規範に違反すれば、責任を取らなければならない▼先日、e-ラーニング教材の利用普及により研究倫理教育を展開してきた、文科省事業「CITI Japanプロジェクト」の事業継承式典と最終報告会が行われた。同プロジェクトが今年度末で終了することになり、その事業を一般財団法人公正研究推進協会に事業継承することになったからである▼その式典で、同協会の吉川弘之会長が「科学者や研究者には、研究課題や研究方法を自由に決めたり、仮説を立て、その仮説の下で行動したり公的に発表したりできるなど、一般社会人にはない大きな自由が与えられている。科学者や研究者は、そのことを深く考える必要がある」とあいさつの中で語った▼そして、そういう大きな自由が与えられていることの帰結として、不正は許されないことなのだという考えを示した。その通りだと思う。つまり、研究の自由ということには責任が伴うということだ。だから、しっかりとこの世界の規範を身に着ける必要がある▼そのためには、研究活動をしていく中で規範を身に着けていけばいいというだけでなく、きちっとした教育プログラムに沿って研究倫理を学ぶ、あるいは教育するということも重要である。ぜひe-ラーニング教材を使った研究倫理教育が普及するよう、今後の同協会の活動に注目したい。

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