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コラム・素領域

2017年2月3日号

素領域

米海洋大気局(NOAA)の調査によると、2016年の世界の平均気温は約14・8度Cで、過去最高だった前年をわずかながら上回った▼この値は、20世紀の平均(記録が残る1880年以降)よりも0・94度C高いという。しかも、過去最高の更新は、14年以降3年連続となった。この調査は、世界各地の陸上と海水面の観測データをもとに分析したもので、昨年は、太平洋東部の赤道付近の海面水温が上昇するエルニーニョ現象が影響しているとのことだ。米航空宇宙局(NASA)も独自の分析から過去最高であったことを確認している▼気になるのが、この調査をした国、アメリカの大統領にドナルド・トランプ氏が就任したことである。なぜかと言えば、大統領自身を含め、側近の閣僚たちが地球温暖化が進んでいることを信じていないというか、危機感を持っていない節があるからだ▼これからも化石燃料を増産し、エネルギー源としてふんだんに使おうとしているように見える。保護主義的な「米国第一主義」を掲げてどんどん化石燃料を消費したらどうなるのか。地球温暖化を止める政策に進めないばかりか、このままではパリ協定から「いち抜けた」と離脱を表明しないとも限らない。現在でもアメリカは世界で有数の地球温暖化ガスの放出国である。温暖化は国境に壁を築いて防げるものではない▼保護主義に走らずに、グローバルな視点で対処してほしいものだ。

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