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コラム・素領域

2019年6月7日号

素領域

環境省は今年、5月30日(ごみゼロの日)から6月5日(環境の日)を経て6月8日(世界海洋デー)前後までを「海ごみゼロウィーク」とし、海洋ごみ問題の周知啓蒙と海洋流出防止を目的とした一斉清掃活動を日本財団と協力して実施した▼人の生活圏から排出された廃棄物は海洋に流出し、海洋汚染や漂着ごみを発生させる。この防止は国境を越えた世界的な課題と認識されている。近年では、プラスチックごみが海洋で5㍉㍍以下のマイクロプラスチックへと破砕され、海洋生物に取り込まれてこれら生物に悪影響を及ぼすだけでなく、毒性有機汚染物質を吸着して生体濃縮される可能性も示されてきた。この問題は今年3月、日本で行われたG20各国の科学アカデミー会議(S20)でも議題として提案され、調査・研究の強化などが提言されている▼これまで日本では、九州大学や東京海洋大学などの研究グループが、太平洋や南極海で調査を実施し、マイクロプラスチックの存在を確認したほか、今年1月には将来の浮遊量の予測にも成功した。また東京大学は5月、日本財団の支援で他大学等と連携して、特にまだ採集方法がない1㍉㍍以下のマイクロプラスチックについて海洋における実態調査、生体影響評価等の研究を実施すると発表した▼プラスチックはその価格の低さと利便性の高さから世界中で生活に浸透しており、この問題の解決には時間がかかるだろう。一方で、問題が明らかになったことでこれまで及び腰だった海洋汚染をはじめとした問題に各国が取り組む契機になるかもしれない。かねてから危惧される石油の枯渇にも対応できる成果が出てくる可能性もある。今後の調査研究に期待したい。

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