世の中、なぜ右利きの人が多いのだろう。世界的にも9割が右利きだそうだ▼その理由については、サルから人間になる過程で感情をコントロールすることや言葉を話す関係で脳の左側が発達し、手の動きが右利きになった。相手を攻撃する場合に右手に剣を持ち、左手に盾を持って身を守るために右手が発達したから。3歳から4歳までに右手を多く使う機会があったから。諸説あるが、科学的根拠ははっきりしていない▼警察関係のデータによると、窃盗を犯した犯人が逃げる際に行き止まりで左右にしか逃げ道がない場合、多くの犯人は左の道に曲がるという。右利きの人は軸足が左足だから左のほうが曲がりやすいというわけだ。このような性質を利用した戦略は随所に見られる▼コンビニである。レジの近くに売れ筋の弁当やおにぎりを配置。弁当を買おうと入った客は、脳が安心感を抱く左へ左へと誘導され、目的の弁当以外にもつい余計なものを買ってしまう。これは城造りにも見られる。城は深い濠や高い壁を回らせて守る▼攻め手側は大手門等から攻め入ることになるが、いつ鉄砲玉や矢が飛んでくるかわからない緊張状態にあるなかで、門を入った後は、脳が不安定になる右へ右へと振られるように誘導されてしまう。これは遊園地などでも見られる。例えばお化け屋敷。作り物とはわかっていても、右へ右へと誘導されて恐怖感が増してしまう。ジェットコースターもよりスリルを味わわせるため右回りが多い▼思う存分楽しんだ後、安らぎを求めたければ、家族ならメリーゴーランド、恋人同士ならば観覧車をお勧めしたい。どれも脳が安心感を覚える左回りになっているのだ。
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