科学技術の進歩に寄与し
豊かな社会発展に貢献する
唯一の専門紙です。
毎週金曜日発行

TOP > コラム・素領域一覧 > 2020年6月5日号

コラム・素領域

2020年6月5日号

素領域

最近、特に気になっていることがある。新型コロナウイルスのことかと思われるだろう▼緊急事態宣言が全面解除されたとはいうものの、第二波、第三波が懸念されるだけに、確かに大いに気がかりではあるのだが、それとは別、実は地震のことである。5月のゴールデンウイーク中に2度も緊急地震速報がテレビ等で報じられたことに気づいた方も多いだろう。つい最近でも、震度4程度ではあるが、宮城、福島、茨城、千葉、長野、岐阜、徳島で相次いで起こっていて不気味な感じがする▼内閣府有識者検討会が先日公表した北北海道沖から太平洋側にある日本海溝・千島海溝沿いを震源とした被害想定では、M9クラスの地震が起こると、北海道から岩手県にかけて高さ約30㍍の津波が押し寄せるという。この公表については、専門家も「東日本大震災がまだ途上であることを示しているものだ」と指摘している▼つまり、3・11の余震によるアウターライズ型の地震はいつ起きてもおかしくないということのようだ。アウターライズとは、陸から見て海溝の外側(アウター)にある盛り上がった地形を指す。アウターライズ地震は、陸地から離れた場所で起こるので、陸地での揺れはさほどではないものの、津波は大規模になりやすい。油断は禁物なのである▼海溝型の大規模な地震の後にくる津波となると、2004年に起きたスマトラ島沖地震(M9・1)でも、8年後にアウターライズ型の地震が発生している。日本は「地震列島」といわれ、いつどこで大地震が起きてもおかしくはなく、これは宿命ともいえる。だからこそ日頃の備えが大切なのだ。

  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Mail
THE SCIENCE NEWS
  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • 購読申込
  • メール