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コラム・素領域

2020年6月19日号

素領域

新型コロナウイルス感染症対策の一環として、審議会等の政府の会議もオンラインで行われるなど、3密を避ける取り組みが様々なところで行われている▼記者会見も、ウェブ会見が数多く行われるようになり、リアルで会見する場合は、説明者との距離はもちろん、記者同士の距離も離されている。しかし、中にはウェブという手法を逆手にとって、主催者に都合の良い情報だけを流そうとする会見が行われることがある▼ウェブ会議システムの中には、参加者(記者)は音声での発言ができず、チャットで質問を投げかけ、それを司会者が読み上げるというシステムがある。司会者によっては、質問の意図を理解し、回答者の説明が不十分だと感じると、追加で質問したり、詳しい説明を求めたりするため、非常に助かる場合がある。一方、チャットでの質問を無視したり、意図と異なる質問に解釈し直して、説明者に伝える司会者もいる。こうした質問は得てして、本質的であったり、説明者に都合の悪いものだったりする。音声で質問できるウェブ会議システムでも、強制的にミュートにして質問をさせないという事例があったという▼そもそも記者会見は誰の(何の)ためのものなのか。一つは、大学や研究機関、企業などが自らの説明責任を果たし、必要な情報を国民に広く知らしめるため。あるいは、株主や構成員、関係者などのステークホルダーに自らの取り組みをアピールしていくため。色々と理由はあるが、誠実な説明を行うことは大前提である▼テレワークの増加により、労働時間による人事管理が難しくなり、労働の本質が問われるようになった。記者会見だけでなく、ウェブの導入で本質を問い直すべきものは数多くある。今こそ、様々な日常を問い直す良い機会であろう。

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