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コラム・素領域

2020年12月11日号

素領域

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が短信レポートとして「海外トレンド・バイデン次期大統領で変わる米国のイノベーション・気候変動政策」を公表したが、その中でバイデン次期大統領は「環境正義」の基本思想を持っていると報告している▼「環境正義」という言葉を調べてみると、公害や気候変動などによる被害に遭うのは社会的弱者であり、そうした不平等を改めて是正することだという。バイデン政権が誕生すれば、地球温暖化で被害にあえいでいる途上国の救済などが期待される▼バイデン氏はパリ協定に復帰し、2050年までに米経済全体でCO2排出量ゼロを目指すという。エネルギー消費大国の米国の加盟は、温暖化問題解決にも大きく貢献するだろう▼環境正義の「正義」の意味は、道徳的で人の道にかなって正しいということである。「正義の味方、月光仮面」のように、不屈のヒーローが悪をくじき弱きを助けることが社会的救済につながるという考え方である▼確かに、環境問題だけでなく、情報化や経済のグローバル化などでも、先進国や大企業、裕福な人たちが利益を得るばかりで、途上国や力の弱い国、小零細企業、貧しい人たちは、なかなか恩恵にあずかれないでいる▼やはり、こうした社会的な大変化や大改革では、環境正義のような、弱者への配慮や格差・不平等の是正という視点が不可欠だ。日本でこれから本格化しようとしているデジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)でも、そうした正義の視点が必要である。

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