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コラム・素領域

2021年3月12日号

素領域

災害や大事故などが起きて大きな被害が出ると、「想定外だった」という言葉を耳にすることが多い。しかし、災害や事故などは、いつどこで起きるのかわからず、ほとんどの場合、想定外なのではないか▼一方で、災害や事故などが発生した際の危機管理では様々な事態を想定し、できる限りの備えをしておくことが重要である。しかし、それでもなお対応できない想定外は起きる▼だから、ちょっと考えただけでも、そんな備えさえしていなかったのかとなれば、危機管理能力を疑われて非難されてしまう。ところで、いま進められている国を挙げたデジタル化推進であるが、これに関してそうした心配はないのだろうか▼デジタル化を支えるのは、インフラとなる情報通信のネットワークであり、それを動かすエネルギー源となる電力である。どちらも、時には回線やシステムの障害が起きて、通信や電力供給が中断してしまう事故がある▼実際に近年の台風でも回線障害などによる通信、電力供給の長時間中断があり、広域にわたって影響が出た。サイバーテロも脅威である。いま国が進めようとしているデジタル化では、多くのことがデジタル化されてしまうようなイメージを受ける▼もしそうなら心配だ。例えばマネーである。全てがスマホ決済などというのは便利だが危うい。通信や電力供給がストップすると使えなくなる。やはり現金も使えるようにしておくべきだ▼働き方や教育などもそうだ。デジタル一本化では非現実的である。やはり、デジタル化は、何をどこまでデジタル化していくのが現実的なのかを考え、アナログの良さも活かしながら進めるべきだ▼その方が、危機管理の面からも優れている。想定外はいつ何が起きるかわからないのだから。

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