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コラム・素領域

2021年3月26日号

素領域

金融庁は、インターネット上でお金について楽しく学べる小学生向けの「うんこお金ドリル」を公開した。設問は少ないが、なにかとうんこが登場する選択肢が楽しく他のドリルも見てみたくなった▼人の腸内には多種多様な数百種にも及ぶ細菌やウイルスが存在し、人により異なる腸内細菌叢・ウイルス叢を構築。これらは環境や生活習慣で変化すると考えられている▼腸内細菌は多くが培養不可能で長らく詳細が不明だったが、近年のゲノム解析技術によってその詳細が明らかになってきた。腸内細菌叢の乱れが、炎症性腸疾患や肥満、自閉症、生活習慣病につながることや、これら疾患の発症に直接関わる腸内細菌も明らかになってきた▼欧米では殺菌剤に抵抗性を有する腸内細菌の発生を原因とする腸炎により年間数万人にも及ぶ死者が出ており、この治療に便移植治療が行われている。便移植は現時点で同疾患に効果を示す唯一の治療法だが、効果メカニズムが不明で安全性に課題があった。その中で大阪市立大学は2月、便移植による治療メカニズムを明らかにした。研究グループは、腸内細菌だけでなく、ウイルスを含む複雑なネットワークを明らかにしようと研究を続けている▼腸内細菌叢の研究は、人だけでなく他の動物でも行われている。北海道大学では動物園と協力して、ミャンマーから日本に移送されたゾウの腸内細菌叢の変化などを明らかにしている▼将来的には、人や動物の難治性疾患に腸内細菌叢からアプローチできるかもしれない。これまでも下水疫学により様々な感染症の兆候が把握されてきた。おうち時間が増えた今、うんこと向き合うのもいいかもしれない。

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