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コラム・素領域

2021年4月16日号

素領域

日本学術会議の会員任命拒否問題から半年、日本学術会議の総会が4月21日に開催される。この間、政府・与党は「学術会議をより良くするため」というお題目を掲げて、改革を迫ってきた▼一方、学術会議は幹事会を中心に、機能強化のための改革案について議論してきた。その際、井上信治科学技術政策担当大臣から設置形態についても検討するよう求められ、総会で示す原案では、現行の設置形態が最も望ましく、特別に法律を制定する新たな特殊法人もあり得るという考え方を示している。それに対して自民党のプロジェクトチームは「我々の提言が無視された」と反発している▼だが、学術会議の機能強化において、本質的に設置形態の変更が必要なのかどうかを考えなければならない。国の機関である場合でも、内閣府などで行われているように、民間人を職員として企業から出向させることは可能であるし、国の研究所と同じように調査研究機能を持つこともできる。機能を強化するという観点で言えば、予算や制度を拡充すればできることはあまたある▼一方、コロナ禍によって経済的・社会的に様々な問題が顕在化している中、新たな法律を検討して、特別な法人を設置する緊急性はどこまであるのだろうか▼任命拒否では「多様性がない」という菅総理の指摘がポイントの一つだが、例えば、女性比率は、国会議員の女性比率よりも学術会議の方がよほど多い。また「政策提言機能が不十分」というが、昨年の7月と9月にコロナ対策につながる提言を出している。それを活かしていないのは政府側だ▼政府とアカデミーが争うことは国として恥ずべきことである。政治と科学者のオープンで本音の対話が必要だ。

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