昨年3月13日に成立した新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づいて、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置など、様々な対策がとられてきた。オンライン授業の導入、交代制で密にならない対策をしながらの研究室運営など、大学の様子も随分様変わりしてきた。一般企業でもテレワークが当たり前になっている▼最近、何人かの人に記者の仕事はどう変わったのかということを聞かれたので、テレワークが可能になった、オンラインのレクが大幅に増えたといったことを答えた。しかし、少し視野を広げて他社も含めて数十人の記者の様子を見てみると、心の状態が変わってきたことが見て取れる▼C社の50代の記者は、以前はゆとりがあったが最近はいつもイライラを抱え攻撃的になった。S社とN社の20代と30代の記者は、オンライン会見では見かけるが、リアルでは数カ月も会っていない。またオンライン会見に参加すると、リアルでの時やオンライン会見が始まった頃と比べて、質問が少なくなり、記者側のテンションが明らかに低下している▼企業関係者に聞くと、テレワークを導入したことで、以前よりも一部の人に仕事が集中することが多くなったり、また全体にパフォーマンスが低下したとも感じているという。もともと集中力や使命感が強い人であれば関係ないはずだが、多くの人はそうではないからだ▼コロナ禍が収まり社会が正常化した後、より多くの課題が表面化するだろう。パフォーマンスを取り戻せない人も数多く出てくるだろう。人間の生物学的特性、社会科学的特性、心理・精神科学的特性を踏まえて、法学・社会学の実践的な対応策につなげる総合知が今こそ求められている。
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