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コラム・素領域

2021年11月5日号

素領域

会議などでテーブルの一角にちょっとした飴や菓子類が置かれていることがある。これはその場に何のメリットをもたらすのか▼以前、取材で見聞したことだが、国際交渉の場で各国の代表や重鎮が自国の立場を主張した際に、議論がヒートアップするあまり、お互いが相手に対し、テーブルにあった飴を投げ合ったことがあった。「これは大変なことになった。話がまとまるのか」と思われたが、関係者は「これくらい白熱した方がまとまるものなのです」と涼しい顔で述懐したのを覚えている▼飴を投げ合うのは論外にしても、菓子類で味覚を刺激することには意外なメリットがあるようである。これを裏付ける日本の大学の研究成果が出されている。143人の看護職の人たちを対象に、会議中に「菓子類の飲食あり」と「何もなし」の条件でどのような違いが出るのかを検証している。その結果、菓子類ありの方が「より実用的なアイデアが生まれた」とか「能率がアップし満足する結果が得られた」などの肯定的な意見が多く出されたという▼しかも、一人の場合でも菓子類があった方が作業の能率が向上する傾向があるとの報告がなされているが、集団の方が効用がより顕著に表れるそうだ。なぜ能率がアップするのか。その根拠については、飴や菓子類に含まれるブドウ糖などの糖類が創造性を引き出す認知機能を活性化させることにあるようだ▼「会議中に食べ物を口にするとは何事だ」と思われる方もおられることだろう。ただそれはひとまず封印を。適度に食べて、頭を柔らかくするのが得策なようだ。もちろん用量はわきまえて、菓子類などを提供するといった視点も考慮したい。

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