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コラム・素領域

2022年1月28日号

素領域

日本学術会議のより良いあり方とは何か? CSTI有識者議員懇談会が報告書を取りまとめた。ただし、まとめというにはまとまりのない内容になっている▼学術会議会員任命拒否問題をきっかけに、学術会議のあり方について検討が始まり、自民党PT、学術会議ともに報告を取りまとめ、政府としての改革の方向性を決めるため、CSTI有識者議員での議論が9回非公開で行われてきた。これまでの議事概要を見ると、科学的助言機能の強化について重点的に議論が行われ、そのために必要な会員選考方法や組織形態のあり方について検討したようだ▼「科学的助言機能の強化に期待する」「組織形態は現状が最適だと確証できない」「政府には現状を前提とせずにあり方を検討してほしい」と結論づけているが、あるべき姿は示されなかった。小林鷹之科学技術担当相は、今年夏までに政府としての結論を出すとしており、次の予算要求に反映させるという▼今回の議論の問題は、理想ばかりを言うCSTIと現状の法体系の中で主張する学術会議が、お互いを理解するための対話ができなかったという点にある。全米科学アカデミーが、政府からの諮問に対して迅速・丁寧に対応できるのは、政府が重要な政策決定をする際、必ず意見を聞かなければならないと義務付けられており、それによって財政基盤や体制を構築してきたからだ。同じ前提条件を作るのが政府の仕事だ。一方、学術会議は会員が入れ替わるため、蓄積が十分ではなく、事務局は現状の法律を前提とせざるを得ない。せめて歴代会長が参加するなどの工夫が必要であろう▼現代のアカデミーは国家の顔であることを忘れてはならない。

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