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コラム・素領域

2022年2月11日号

素領域

ガンの早期発見のための診断はバイオプシー(生検)によって行われる。一般的に腫瘍のある組織を取ってきて病理専門医が顕微鏡で判断するわけだ▼最近では、血液や尿などからガンを検査する方法(リキッドバイオプシー)が身近になってきている。これはガンが体のどこかにできると、血液の中に特徴的に作られるタンパク質などの物質が増えることを利用して診断する。腫瘍マーカーと呼ばれる。例えば、前立腺の検査で、PSAが高い値を示せば、前立腺ガンや前立腺肥大が疑われる▼CEAというマーカーならば、胃、大腸、肺などのガンで高い値となる。ただ、ガンがどういう種類でどこにできているかまでは特定できないため、後の画像診断などによって判断せざるを得ない。このような中、腫瘍マーカーとは違う新たな手法が注目されている。それは血液中に流れ出るガン細胞、ガン細胞の破片、遊離したDNA、エクソソーム、μRNAなどを調べることによって、体の中のガンの状態をリアルタイムに知る手法である▼その結果によって、単にガンの有無を判断するだけではなく、手術や放射線治療後のガン細胞の残存といった治療効果の評価や、再発後の治療方針や薬剤の選択にも使われることが期待されている。うまくいけば、画期的な検査方法となり得るのである。腫瘍マーカーにしても、期待される新しい方法にしても、血液検査で簡単に結果がわかる。われわれ一般の人にとっては、採血だけで済み、負担はそれほどでもない▼年に1、2回は健康診断を受けている人も多いことだろう。その際、医師と相談してこうした検査手法を加えてみてはどうだろうか。

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