4月5日に公表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書第3作業部会報告書では、世界全体のCO2をはじめとした主要な温室効果ガス(GHG)の人為的排出量が、依然として増え続けていることが改めて示された▼世界各国が取り組む温暖化防止対策には目標とする1・5度Cの上昇を止めるため、さらに大きな努力が求められている。気象庁の各種データ・資料から「日本の年平均気温偏差の経年変化(1898~2021年)」を見てみた▼それによれば、1898年の統計開始以降、年平均気温は様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1・28度Cの割合で上昇しているという。そういえば、近年は昔と気候が少し変わったのか、真冬になっても分厚いコートを着る必要もなく過ごせる日が多いように思うし、夏の日差しも異常に強く感じられる。気のせいもあるのかと思い自分の住む街の気温変化について、1年間の隔月平均気温の推移を気象庁のデータから見てみた▼単年ではデータに偏りがあるかと思うので、40年ほど前の1980~82年の3年間と、現在の2019~21年の3年間の隔月平均で比べてみた。結果は40年前の3年間よりも現在の3年間の方が、7月と12月を除くすべての月で高かった▼冬季の1~3月では1度Cから3度C近く高い。8月は3・5度Cも高かった。冬暖かく夏が異常に暑いのは気のせいではない。いま長引くパンデミックに加え、ロシアのウクライナ侵攻が世界にショックを与え、国際連携に黄色信号がともっている▼気候変動問題は人類の存亡に関わる深刻な問題だ。ロシアは一刻も早く無謀な侵略戦争をやめて、人類が抱えるもっと重要な問題に世界と一緒になって格闘すべきだ。
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