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コラム・素領域

2022年5月27日号

素領域

日本の法体系や商慣習そのものが、挑戦者が育ちにくい環境を形成しており、一部の法改正や規制緩和だけでは焼け石に水ではないか▼日本の法体系は六法をベースに作り上げられているが、それらを改正することは非常に少ない。その代わり、特別法などを制定し、改正することで様々な問題に対処してきた。例えるなら、大きな幹があり、そこからたくさんの枝葉が伸びており、その枝先を剪定したり接ぎ木をしているようなものだ。この数十年で法的複雑性は強化され、法務部門を持つ大企業は対処できるが、スタートアップや中小企業では対応できない状況を作り出した。一方、諸外国では基本的な法律についても時代に合わせて変えてきた。その結果、ある程度シンプルなシステムが形成され起業もしやすくなっている▼また世界から見たら奇妙な「日本ルール」が存在する。スタートアップ投資の世界ランキングでトップ100に入っているソーゾーベンチャーズシニアマネージングディレクターの中村幸一郎氏は「非常に投資家優位の契約条項(買取条項や上場への努力義務規定)や、行使期間や条件が限定的という日本独自の契約条件や制度が多く設定されている。不平等条項を課されるスタートアップには何か問題があるのではないか、こうした契約条件が将来の制約になると見られ、こうした制度や契約条項があるだけで投資の検討対象にならない」と指摘する。VC投資を誘発するための手法が、結果的に海外VCを日本から遠ざけている▼法律にしろ税にしろ、日本は様々なルールが複雑で、しかも不公平なルールを新規参入者に強いている。岸田総理の言う新しい資本主義実現には、根本的な改革が必要だ。

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