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コラム・素領域

2022年10月7日号

素領域

岸田文雄首相は2日に京都で開かれたSTSフォーラムで「イノベーションの源泉となる人への投資を含む基礎研究力を強化するとともに、価値観を共有する同志国と連携し、国際頭脳循環を促進します」と話した。研究力の低下が指摘されている中、こうした姿勢を日本のトップが示したことは大きな意義がある▼STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)は、故・尾身幸次・元科学技術政策担当大臣によって2004年に創立され、今回で19回目の年次総会となる。毎年、ノーベル賞受賞者を含む世界的な科学者、政策決定者、企業経営者、研究機関長、大学学長などのオピニオンリーダーが、国境・分野を越えて人類の未来のために様々な課題について科学技術の方向性を議論し、世界的なネットワークを構築する「場」となっている▼コロナ禍でオンライン開催を余儀なくされていたが、今年は3年ぶりの対面での開催となった。岸田首相は「各国政府や企業、市民が手を取り合って、科学技術をもって、新型コロナウイルスという人類共通の脅威に、立ち向かってきた証し」だと強調した▼科学に国境はないが、研究力は国力の源泉となるため、各国がしのぎを削っている。日本政府も経済安保の観点から、量子、AI、バイオなどへの投資を加速している。ただし、経済安保を強調しすぎると、国際頭脳循環や基礎研究は阻害される可能性がある▼国際協調の中での研究インテグリティの確保とその体制強化が急務となっている。

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