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コラム・素領域

2022年11月25日号

素領域

世界的な半導体不足をきっかけに、台湾の大手半導体メーカーと日本企業による新工場建設や、次世代半導体製造の新会社設立など、日本の半導体産業再興の動きが進んでいる▼国の方でも、文科省の今年度予算で大学や国立研究開発法人を中心に次世代半導体創成拠点を形成する施策が進められたり、経産省の第2次補正予算案で半導体産業の支援に1兆円以上の投資が盛り込まれたりするなど、動きが早まっている▼日本は「産業のコメ」と言われる半導体の産業振興に力を入れ、1980年代には米国と肩を並べるほどまでに発展し、世界シェアトップをとる時代もあった。研究開発も盛んに進められた▼70年代から90年代にかけては、ICからLSI、さらに超LSIへと飛躍的に技術を進歩させ、世界一を競う開発成果が頻繁にニュースとなった記憶がある▼しかし、日米貿易摩擦の中でこの分野でも問題が起こり、日本にとっては不利な協定が結ばれ、日本は輸出を規制されることになる。以降、日本の半導体産業は勢いをなくしていった▼その後、半導体の設計と製造が分離されるようになり、製造を受託する韓国や台湾などのメーカーが力をつけて急成長していった。日本の半導体産業はそうした世界的な動きから遅れてしまい、今日を迎えている▼まさに戦略あらずしての結果ではなかったかと思う。いま米国は中国との競争に全力を傾けている。チャンスかもしれない。しっかりと目標を立て戦略を持って、半導体産業の再興を進める必要がある。

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