昨年11月にChatGPTが公開されて以降、こうした生成AIや生成系AIと呼ばれる人工知能の利用や研究開発の在り方が大きな話題になっている。英語ではジェネレーティブAI(Generative AI)と呼ばれているものだ▼これはデータから画像や文章を自動生成することができるAIである。従来のAIは膨大なデータを機械学習し、それをもとに分析や予測などに応用されてきた。しかし、生成AIはそうした学習法ではない▼与えられた少ないデータからでも、自動的に画像や文章などを自動生成することができる。自ら考え創造する。従来のAIより、さらに人間に一歩近づいたといえるかもしれない▼これまでのコンピューター技術では到達できなかった領域。ジェネレーティブには、生殖力のある、生成的などの意味がある。生成AIに至って、その機能が人間の創造的な領域にまで入りこみ、新たなものを生み出す能力を備えるところまで来たということなのか▼まさに、AIの技術開発スピードの速さに驚くばかりである。同時にこの優れた技術は、やはり戦争やサイバーテロ、犯罪などに用いてほしくない。人類のため、世界のため、世のために貢献するよう展開していってほしいと願うばかりだ▼3月に早稲田大学で開催されたAPRI2023 TOKYO(第5回アジア太平洋研究公正ネットワークミーティング2023)でも、AIが新たなテーマとしてとりあげられ、これを研究倫理のうえでどう取り扱っていくのかが議論された▼人間社会に大きな影響を及ぼすAIのような先進技術の研究開発や利用では、研究者や利用者の倫理観というものが、やはり欠かせぬ重要な課題だ。
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