G7科学技術大臣会合が行われていた仙台・秋保温泉からの帰り道。バスの中で、東北大学の学生さんと話をする機会があった。その時に「G7といっても、経済規模では世界の中心ではなくなっているのに、G7サミットや科学技術大臣会合を開く意味はどこにあるのですか」と聞かれた▼かつて、サミットでの決定が世界の潮流を決めていた。しかし、途上国の急激な経済成長などにより、G7の経済規模は世界の半分以下になり、またG7各国は少子高齢化などにより、その勢いは衰えている。そのため、2008年からはG20首脳会議が開催されるようになった。こうした文脈からすると、学生さんの疑問は当然と言える▼大臣会合では、大臣クラスの華やかな会合とは別に、実務者会合が開かれる。大抵の場合、大臣会合の数日前から膝詰めで昼夜関係なく議論を詰め、その結果がコミュニケや付属文書に反映される。具体的な交渉の中身は書けないが、価値観を共有することの重要性が何度も強調されたという▼科学や技術においては各国間で競争が行われるが、それは一定のルールのもとで行われるからこそ、お互いにその結果を受け入れることができる。結果が気に入らないからといってちゃぶ台がえしをするようなことがあってはならない。最近、しばしば耳にするようになった同志国という考え方の根本だ▼科学技術の進展は、世界に様々な影響を与えている。明確で公平なルールがなければ、世界は混乱に陥るだろう。そのルール作りに貢献することにG7の意義があり、その価値観を広げていくための努力を続けていくことが重要だ。
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