総務省消防庁は「夏期における熱中症による救急搬送人員の調査」を今年も例年通り5月1日を含む週から開始した。週1回速報として発表し、10月1日まで継続が予定されている▼厚生労働省人口動態統計では熱中症による死亡者は1993年以前は年平均63人だったのに対し、94年以降は663人に増加。記録的な猛暑で死亡者が最も多かった2010年には1745人が死亡した。それ以降は減ったものの、近年になって18年から千人を超える年が続いており、そのうち65歳以上の高齢者の割合も増加している▼先述の調査によれば今年熱中症で搬送された人の数は週を追うごとに増加し、7月3~9日の搬送者数は3964人になっている。同期間および今年累計の発生場所の約40%は住居、次いで道路が18・1%だった。在宅勤務や外出の際は注意していただきたい▼気象庁と環境省によれば21年10月31日までの東京23区における熱中症による累計死亡者は39人で、そのうち屋内での死亡者の約9割はエアコンを使用していなかった▼産業技術総合研究所は製品評価技術基盤機構と共同で温熱感覚について60歳以上の高齢者(平均73歳)と20代の青年(平均23歳)の合計4百人を比較する実験を行い、高齢者では暑さ寒さの感じ方が青年よりも鈍いことを06年に報告。この差が加齢に伴う体温調節機能の低下と関わることが示唆されている▼「自分は大丈夫かな?」と思い至ったということは既に危険なサインなのかもしれない。まだまだ夏は序盤で暑さは続きます。ご自愛ください。
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